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実体験に基づく口臭との壮絶な戦い
毎日の悩みとなっている人も多いであろう、
「口臭」について実体験を踏まえてご紹介したいと思います。
なぜ口の臭いの問題を取り上げるのか?
臭いというのはかなりセンシティブな問題です。
最近は「スメハラ(スメルハラスメント)」という言葉もあるように、
体臭が周囲の人へのストレス・悩みの原因になることが指摘されています。
もともと人間も動物ですから、体臭はあるものなのですが、
社会が発展する中で空調なども整備され、無臭が普通となりました。
そうして敏感になるなかで問題だと言われるようになったというわけです。
私も散々多くの人に指摘されてきましたが(周囲の人には申し訳ない…)、
ようやく今になってこの問題に取り組むことが必要だと感じています。
私なりに悩んできた10年以上の時間とたどり着いた解決法について、
良いアイデア、考え方について議論を深めたいと思い立ちました。
他人から臭いは指摘してもらえるだけ優しいのかもしれない。
しかし、言う方も言われる方も気まずくなりやすい問題であるのも見えない壁です。
最終的には他人に問題を指摘したからと言って他人を変えるのは難しいです。
しかし、その優しさがいつかその人を動かすことを信じて、
そして、本人がこの記事を読むことを信じて希望を持ってすこしでも役に立てば幸いです。
許容度の違いはあれど人は口臭が発生する
かくいう私も口臭に散々悩む人間の一人です。
口臭は嗅覚が慣れてしまうため自覚するのが難しいとされていますが、
長年お悩みになっている方の多くは「また臭っているじゃないか」と不安だと思います。
生きていれば口臭は必ず発生してしまうものであるという事実があります。
その上で、人から指摘されるレベルの口臭はご自身の口内環境としてもあまり良くない、
だからこそ可能な限りケアを徹底しておいた方がご自身のためだと思うことから始めます。
自分が口臭に気づいたのはちょうど大学生くらいのことです。
それまでと同じ様に生活していたはずなのですが、気分的に晴れない日が続いており、
ある日、家族に口臭を指摘されたのが初めてのことです。
その時は毎日、起きるのも苦痛で大学も行くのが億劫になる、当然歯磨きも面倒になる。
今考えればうつ病の一歩手前だったのかも知れないと思います。
「歯磨きもケアも面倒くさい」という気持ちが先行しており何も対策をしませんでした。
もちろん、毎日最悪の口内環境だったと思いますが、
食事の後はあまり臭いませんし、緊張しているときや調子が悪いときは臭い、
特になにも感じていなくても指摘されることもあるのです。
だからこそ「自分の口がくさいのではないか」という恐怖に怯える人も多いのですが、
世の中の人と話していてよっぽど臭いがきつい人は10人に1人もいないはずです。
つまり、多くの人は気にしすぎている可能性があります。
私なんかはなんでこの人はそんなにいい息をしているのか、
どうしたら自分もそうなれるんだろうかと思ってしまいます。
【実践】口臭が気になる人のためのチェックシート
口臭を指摘されてから10年間何も対策を取らなかったというわけではありません。
働きだしてからは年に1回歯科検診を必ず受診していましたし、
ドルツのウォーターピックやフロスを使ったこともあります。
歯周病や虫歯はゼロ、その他の歯科疾患といえば知覚過敏がある程度でした。
実はこの知覚過敏が自分の口内ケアに大きな影響を与えていたのですが…
話は戻って様々なケア方法を導入したものの、
継続することが難しく結果的にこれまでどおりの適当な口内ケアに戻りました。
そうなると当然口内環境は改善しません。
私は確実に口臭がある人間ですので、以下の条件にある程度該当している場合は、
おそらくご自身にも口臭があると考えて良いと思います。
- 歯磨きするのが苦手、嫌々している
- 口の中がネバネバしたり、カラカラに乾いている
- 口呼吸が習慣になっている、いびきをしている
- 喉や腹部がなんだか重く感じる
- 人から口が臭うと言われたことがある
- 歯磨きをしても口臭がなくならない
- 親知らずの処置をしていない
- 1年以上歯科検診を受けていない
- ストレスを感じることが多い
- アルコールやコーヒー・お茶を飲むことが多い
あくまでもチェックシートですが、一般的には3つ以下ならほとんど問題なし、
6つ以下なら場合によっては口臭が起こっている、
それ以上ならおそらく口臭が発生していると考えられます。
特に5番は「他覚的口臭」だということがわかるということ。
口臭はなかなかデリケートな問題、自分も一瞬感じたとしても言う人はほとんどいない。
だからむしろ言ってくれる人には感謝かもしれないと思ったほうが良いです。
これらのチェックシートの基準は複合的に原因と結果が絡み合っています。
例えば、歯磨きが苦手でストレスを感じやすい人かつアルコール好きな人は、
元々の口内環境とストレスによる交感神経優位と、
アルコールによる唾液量分泌抑制が重なり口臭につながってきます。
また、歯並びが悪く、口呼吸が習慣となっている人は、
歯の隙間に汚れが溜まりやすくなり、口呼吸による唾液の乾燥が生じて、
これもまた口臭につながる可能性が高くなります。
単純に口内清掃が苦手な人にはそのための対処法を実行することが解決法ですが、
それだけが原因であることはまず無いと言えます。
具体的なケア方法については次回の記事で触れていきたいと考えています。
ここで申し上げたいことは口内の病気、生活習慣、ストレスなど、
複数の要因が重なっている場合は一つずつ解きほぐしていくことが大切ということです。
口臭の原因について徹底的に知り対策をする
口臭とバクテリアの数は間違いなく比例する
一般的に「口が臭い」場合、その要因は口内のバクテリアの数で決まります。
口臭の原因は、87%が口の中にあることが科学的に明らかにされています。[1]Delanghe G, Ghyselen J, van Steenberghe D, Feenstra L. Multidisciplinary breath-odour clinic. Lancet. 1997; 350:187.
これは単にバクテリアの数が多くなるとそれらの活動が多くなるので、
食べ物の残りを分解するときに発生する化学物質が匂いの原因になるのです。
また、虫歯や歯周病も直接・間接的に口臭の原因となります。
こうした口内の病気が口臭の原因になっているケースは33%程度とされています。
しかし、私がそうであったように、虫歯の有無と口臭はほぼ関係ないんです。
私は虫歯が一本もありませんし、治療した歯もありません。しかし口臭があります。
一方で治療が必要な歯がたくさんあっても口臭がない人もいます。
虫歯は元々の歯の強さや口内細菌の種類によって、そうなるかどうかは変わります。
一方で歯周病は一般的に臭いを発します。
これは虫歯と異なりタンパク質でできている歯茎が、
炎症を起こしている状態であるため腐敗臭がするのです。
ただし、虫歯や歯周病が起こる状態は口内環境の悪化によるものであるため、
口臭の原因のほとんどは「口内清掃不足」もしくは「口内の病気」が原因と言えます。
口内以外の病気が口臭の原因になることはほぼ無い
例外的に、逆流性食道炎など特定の疾病が引き起こす「病的口臭」もありますが、
実は病的口臭が原因であるケースは1%程度に過ぎないという報告結果があります。
また、たばこなどの嗜好品、
ニラを食べたあとの「外的要因の口臭」も口臭の原因ではありますが、
あくまで一時的な口臭であって通常は長くても1日程度で無くなります。
病的口臭の場合は内科や消化器科で疾病の治療が必要です。
今回はこの場合については取り上げません。
また、にんにくを食べた後は当然臭います。アルコールの後も臭います。
これらはあくまで一時的な口臭ですのでこの場合についても取り上げません。
ただし、元々の口臭と複合的に臭いが悪化する可能性があることは触れておきます。
それでは、一般的に口臭は口内のバクテリアの数で決まるということは分かりました。
しかし、毎日歯磨きをしているのになぜ増えてしまうのでしょうか?
さらに深堀りしてその犯人を追求していきましょう。
現代人のストレスは口臭の大敵です
現代に生きる人々に十分に心掛けてほしいことがあります。
それはストレスを溜めないことです。無理をしないということです。
私はストレス耐性がある程度高い方ではあります。
曲がりなりにも会社員として数年、ときには朝まで働くこともあり、
人前で話したりすることもある程度多い仕事でした。
それでも決して毎日楽しく、ポジティブな状態でいたかと言うとそうではなく、
毎日なにかを不安に感じ、自分の存在意義が無いのではと考えたり、
常に浮かない顔をしながら仕事をしていました。
こういうストレスフルな状態は口臭の原因になると考えています。
なぜストレスが口臭の原因になるのでしょうか?
口の中のバクテリアの多くは「嫌気性微生物」という酸素が苦手な生物です。
そういうと、「呼吸すればいいの?」と思うかも知れませんが、
口呼吸は口を乾かすだけで決して酸素を届けることはできません。
唾液こそが口臭の最大の味方になる
実は「唾液」が酸素を口のなかに供給しているのです。
つまり、唾液をたくさん出すことがバクテリアの繁殖を抑え結果的に口臭を抑えます。
それでは唾液をどうしたらたくさん出せるのでしょうか?
一番唾液が出るときというのは食事の時です。
つまり、食事をすれば唾液が出て口の中がある程度きれいに保たれます。
もちろんよく噛むことでさらに意識的に唾液をだすことができます。
また、酸っぱいものを食べたり、水分を取ることも一つの方法ですが、
自然に唾液を出すには「副交感神経」を優位に働かせることが大切です。
これは一般的に「リラックス」した状態のときに優位に働きます。
ですから、ストレスを感じているときには働きにくくなり、
結果的に唾液が減少し、口臭が発生します。
ただし、唾液も元々の口内環境が悪い場合は、バクテリアが優位になって、
つばがとても臭くなったりします。この場合はまずは口内清掃から徹底します。
次回は実践的口臭対策の最終版について語る
【発見】口臭ケアは単なるブラッシング指導では解決しない
「歯磨きをすれば口臭は防げる」
よく、このように思われている場合があります。
確かに口内環境が改善すればほとんどのケースで口臭は完全に無くなります。
しかし、その清掃方法はご自身に合っているか考えたことはあるでしょうか?
一般的には適切なブラッシングとフロスを組み合わせることで、
80%以上の歯垢を除去することができるとされています。[2]Interdental Brush と Dental Floss の清掃効果について, 山本 昇, 長谷川 紘司, 末田 武, 木下 四郎, https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio1968/17/2/17_2_258/_article/-char/ja
これは明らかに事実ではあるのですが、フロスを上手く使えなかったり、
フロスをかける時間が無かったりすると実践することができなくなります。
歯並びが良くない場合はブラシだけでは汚れが取りきれません。
また歯間が詰まっているのでフロスや歯間ブラシをかけなければいけません。
しかし、歯科では「ブラッシングとフロスが効果的」としか説明しません。
自分の歯の状態によってはそれだけでは不十分だったり、
別の方法を取ったほうが良いこともあるのです。
ちなみに歯間ブラシに効果がみられることに気づいたのはつい先日のことでした。
歯磨きだけで口臭が防げる人もいますがそうでない人もいる。
そしてその清掃方法は人によって効果的かどうかが大きく変わってきます。
このことに気づかなければ一見フロスをかけてキレイにしたはずなのに、
すぐに口臭が発生してしまい、解決不可能な問題と考えてしまいかねません。
実際はそんなことはありません。口臭は口からする限り可能な限り、
解決することができるはずなのです。
本当におすすめの口内ケアツールなどのご紹介
今回は口臭の原因となる要素について解説していきました。
人間の口臭は「社会的許容度の要因」「口内環境要因」、
「口内疾病要因」「病的口臭要因」「外的要因」「ストレス要因」、
が複合的に組み合わさった結果問題として認識されるのです。
多くの原因は口内環境の悪化に伴うバクテリアの繁殖によって、
口臭が生まれてしまうということです。
「ちゃんと歯磨きすれば改善する」だけでは必ずしも改善するわけではありません。
歯並びや生活習慣や時間的余裕などそれぞれの個性に合わせて、
どういった対処法が最も効果的かを探りながら口内ケアをすることが大切です。
そして、唾液という最強の味方を活かすためにはまず、
きれいな口内を維持することが最も大切です。
次回はそれぞれの人にどのような対策が効果的か、
具体的にどういったツールを使い、どのくらい丁寧にケアをすべきかについて、
詳しく語っていきたいと考えております。
口臭の原因は関係ないはずの知覚過敏だった
最後に個人的な口臭の原因研究で発見したことがあります。
毎日歯磨きをしていても口内バクテリアが増えてしまうことがあります。
この原因は、大きく2つの場合に分けられます。
- 口内清掃がその人にとって十分でない場合
- 口内清掃はちゃんとしているがその他の原因ですぐに口臭が発生する場合
このような場合、知覚過敏があることで口をゆすぐのが苦手になり、
あまり歯磨きをしたくない、面倒くさいと感じてしまい、
結果的に磨き残しや歯間清掃がされなくなっています。
知覚過敏という原因で口内清掃が不十分になることもあるのです。
口内バクテリアが少なく口臭がするケースは先程もご紹介差し上げたとおり、
全体の1%程度に過ぎませんからほとんどの人は、
何らかの理由で口内清掃がうまくできていないといえるわけです。
「冷たい水が歯にしみる」という小さな原因が、
最終的に口臭につながる場合があるということ。
この問題に対しては次回の記事で解決法をご紹介したいと思います。
References
↑1 | Delanghe G, Ghyselen J, van Steenberghe D, Feenstra L. Multidisciplinary breath-odour clinic. Lancet. 1997; 350:187. |
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↑2 | Interdental Brush と Dental Floss の清掃効果について, 山本 昇, 長谷川 紘司, 末田 武, 木下 四郎, https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio1968/17/2/17_2_258/_article/-char/ja |