日本でSuicaが使えるスマートウォッチはApple Watchのみ
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スマートウォッチで使える電子マネーの種類
確かにスマートウォッチからもEdyやSuicaは使えるが…
「スマートウォッチで使える電子マネーはあるの?」という質問に答えるならば、
「スマートウォッチでも利用できる電子マネーはあります」と答えます。
例えばEdy、Suica、iD、QUICPay、dポイントなどです。
しかし、これらをすべて使えるのはApple Watchのみです。
確かにソニーのwenaなど電子マネー決済が利用できるスマートデバイスもあります。
しかし「現実的に電子マネー決済が使いやすいスマートウォッチ」となると、
実はApple Watch以外には選択肢がないというのが現在(2019年6月11日)です。
Androidのスマートウォッチで電子マネーが使えない?
インターネット上では「Apple Watchしか電子マネーが使えない」という記事や、
「他の機種もNFC決済機能が付いている」という記事などありますよね。
しかし、スマートウォッチ専門メディアの視点から「本当に使える」のは、
「Apple Watch一択」であることは間違いないと断言します。(2019年6月11日現在)
この理由は以下の2つが挙げられます。
- NFC対応スマートウォッチが日本で主流のFeliCa非対応
- FeliCaを使った電子マネーサービスが未構築
まず1について、
日本で使われている電子マネーの規格は「FeliCa(フェリカ)」を採用しています。
まず「FeliCa対応NFC」を搭載していなければ基本的に不可能だということです。
多くの海外メーカー製スマートウォッチは「NFC Type A/B」に対応しています。
よって、ほとんどというか、現時点ではすべて対応していません。
そういうふうに記載されているものも多く見かけますよね。
これは、あくまでNFCのTypeAもしくはTypeBを指していることが一般的で、
日本の電子マネーで使われている「TypeF(FeliCa)」には対応していません。
つまり、カタログに「NFC対応」と記載があっても、必ずしも日本の電子マネーに対応しているというわけではないということを気をつけましょう。
最近はGoogleのスマホPixelシリーズにもFeliCaが搭載され始めていますが、
まだまだスマートウォッチで搭載されている機種は限られています(ソニーだけ)
また、スマートウォッチ自体がFeliCa対応であったとしてももう1ステップ必要です。
次の段階として「そのサービスを多くの電子マネー決済業者と連携して、
多くの店で使ってもらえるようなアライアンス構築」が必要です。
この営業活動と交渉がとても労力がかかるところです。
多くの決済代行業者とマージン等を交渉する必要がありますし、
力関係によっては飲み込まれてしまう、拒否されることもあります。
また、近い内にFeliCaを搭載したものが発表されても、
その後、メーカーが独自の電子マネー決済用のソフトウェアを開発し、
日本の決済業者と連携してサービスを円滑に運営できる仕組みがければ利用はできません。
GoogleのWearOSを始めとして、サムスンのGalaxyやHuaweiのWATCH GTなど、
独自のOSを備えるものまでたくさんのOSが発表されています。
しかし、デバイスから使用できる電子マネーという視点から見ても、
Apple Watchの備えているApple Pay以外にちゃんと使えるものはありません。
よって、「Suicaが使えるのはApple Watchのみ(Apple Pay)」で、
「電子マネーをスマートウォッチで使いたい場合もまたApple Watchが最強」です。
Appleはユーザーが非常に多いことからサービス促進に強みがあります。
そのため、iPhoneはもちろんApple Watchからも電子マネーが使えるのです。
もしGoogle Pay対応スマートウォッチが出たら?
現時点(2019年6月11日)ではApple Pay以外に「日常的に使える」
スマートウォッチに対応した電子マネーは存在していないというのが現状です。
しかし、Googleも負けてはいません。
Googleの提供しているOSであるAndroidは、スマートウォッチ用OS「Wear OS」の生みの親となっており、基本的には互換性が取れています。
現在、Googleの販売している「Pixelシリーズ」ではこのGoogle Pay対応、
つまりFeliCaを搭載した機種が販売されているので、
iPhoneでApple Payを使うようにGoogle Payを使うこともできるようになりました。
今後Wear OSに対応したスマートウォッチでこのFeliCaに対応する機種が出れば、
日本でも普通に使える電子マネー対応スマートウォッチが増えるでしょう。
FeliCaという日本独自規格の由来
スマートウォッチでFeliCaが使えれば生活はもっと便利に
ここまで「なぜApple Watch以外のスマートウォッチが電子マネー決済できないのか」について、規格面とサービス面から説明してきました。
実は身近なところで言えば、「Suica」にこのフェリカが使われています。
JCBが推進している「QUICPay(クイックペイ)」も、
VISAが推進している「ID(アイディー)」もまたFeliCaの規格です。
もっと身近なところでは、nanacoはQUICPayと連携していますので、
実はnanacoカードをお持ちの方はQUICPayでの支払いもできるんですよ。
これほどまでに日本では普及しているFeliCaなのですが、
Apple Watch以外のスマートウォッチにはそもそも搭載されていないんです。
このFeliCa、「国内のガラパゴス規格」の代表例のようですが、
実は香港の交通系ICカードでは採用されているそうです。[1]ソニー株式会社 非接触ICカードカード技術 https://www.sony.co.jp/Products/felica/usecase/index.html
スマートウォッチのNFCはTypeA-Bが主流
日本でFeliCaを使うようになったのはソニーがJR東日本のSuicaを開発する際に、
新宿のラッシュにも対応できる通信スピードが必要という要求に答えるためでした。
そのため世界的にNFCの主流であったTypeAやTypeBは採用されず、
独自の高速化、高セキュリティ化が施された仕様になったとされています。
そのため、Suicaに使われたFeliCaが日本でのNFCの主流です。
Edyも1億枚を超える発行枚数ですがこちらもFeliCaを採用しています。
ちなみに日本で一番普及している電子マネーは「Suica」です。
(その他交通系ICカード含む)
表1 主要電子マネーの発行枚数より引用[2] … Continue reading
交通系ICカード | 総枚数14,562万枚 |
Suica | 7161万枚 |
PASMO | 3628万枚 |
ICOCA | 1845万枚 |
nimoca | 621万枚 |
PiTaPa | 322万枚 |
TOICA | 265万枚 |
SUGOCA | 252万枚 |
uniko | 214万枚 |
Kitaca | 137万枚 |
はやかけん | 117万枚 |
Apple WatchのApple Payが現時点では最強
Apple WatchはFeliCa対応でものすごく便利
Apple Payは現行のiPhone8/XやApple Watch4で使うことができます。
実はiPhone7までは日本仕様のiPhoneのみにFeliCaが搭載されていました。
海外で購入したiPhone7は日本の電子マネーに対応しなかったんですね。
それが、すべての機種にFeliCaを搭載するようになりました。
しかし、iPhoneユーザーが多い日本でより便利に日常的に使ってもらうために、
ちゃんと日本の電子マネー規格であるFeliCaに対応していったのですね。
Apple Payは電子マネーのお財布だと思えばOK
実際、Apple Payが使えるというのは「QUICPay」も、
「ID」も「Suica」も使えるということになります。
これはApple Payというお財布の中に、
いろいろな電子マネーが搭載されているということですね。
このお財布にいろんな電子マネーが入れば入るほど便利になります。
というわけでSuicaに対応したスマートウォッチは「Apple Watch」のみです。
頑張れApple Pay以外の電子マネー
日本ではSuica対応のスマートウォッチが必要
これまでみてきたように日本ではSuicaやEdyといった電子マネーが普及しています。
つまり、日本で活用されるにはFeliCa対応である必要があります。
さて、FeliCaの開発元はソニーです。
ソニーのスマートウォッチならFeliCaは搭載して当然だと思いませんか?
そのとおりで、ソニーのwenaにはFeliCa対応のものがあります!
しかし、致命的なのは「FeliCa対応ですがSuica非対応」という点です。
wenaで使える電子マネーはEdy、QUICPay、ID、dポイント
しかし、Suicaが使えない時点でこのwenaの使い勝手が非常に悪いですよね…
wenaによる電子マネーの使い勝手が悪い理由
wena自体はそこまで悪いスマートウォッチではないんです。
しかし「使い勝手」と言われる「ユーザーエクスペリエンスデザイン」が致命的です。
特に電子マネー決済との連携が全く取れてないと言っていいくらい悪いです。
- AndroidユーザーでもiOS(iPhone)が必要
- Suicaが使えない
一番謎なのは、①ですよね。Androidユーザーがなぜ電子マネー決済できないのか…
おサイフリンクの公式サイトには「フェリカネットワークス株式会社が提供するiOS向けの おサイフリンク アプリ をインストールし設定することで、Androidユーザーの方もwena wristの電子マネー機能をご利用頂けます。」と記載されています。
ただ、そもそも「なぜAndroidユーザーはwenaによる電子マネー決済ができないのか」という疑問があります。
そんなことをしている間に、GoogleのPixelシリーズがGoogle Payに対応しています。
wenaがSuicaに対応する前にGoogleのWear OS対応端末からSuicaに対応しそうです。
なんだかよくわかりませんが、大人の事情でこういう事になってるようです。
フィットビットの電子マネーFitbit Payも日本ではNG
日本国内においてはFitbit Payに対応する金融機関が無いため、
現時点では日本国内版では登録機能を実装していないとしています。
ヘルスケア用のスマートウォッチとしては人気のFitbitですが、
日本人の生活に浸透するまでにはまだまだ時間がかかりそうです。
ガーミンのGermin Payも三菱UFJデビットのみ対応
現在は「三菱UFJ-VISAデビットカード」のみの対応です。
スマートウォッチメーカーで独自OSを搭載しているものは、
電子マネー決済のようにアライアンス構築が必要なサービスには弱いですね。
References