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スマートウォッチには不整脈検知の機能が搭載される
Apple Watchが心電図機能をアップデートで搭載
2018年12月、Apple Watchのアップデートでは多くの人が驚きを受けました。
ついに裏側に搭載された心電図(ECG)機能がアメリカで開放されたのです。
心電図測定は今まで病院などで身体に電極を付けて安静にしながら測定しました。
しかし、アップルウォッチを手首につければ心電図測定ができれば、
心疾患、不整脈を抱える人にとっては日常的なアラートとして使えるでしょう。
心拍異常の検知はSeries1から搭載されている
実は心拍数測定自体は多くのスマートウォッチに搭載されている機能です。
裏側に搭載された緑色発光ダイオードの反射光を利用して、
1分あたりの心拍数を計測するというシンプルな仕組みを使っています。
Apple Watch Series4からは心電図(ECG)機能が搭載されており、
2018年のアップデートはアメリカ国内のみに限り心電図も測ることができます。
スマートウォッチの心電図は何が良いのか?
心臓疾患について早めに体の調子を知ることができる
心電図は健康診断に必ず含まれる一般的な検査項目ですが、
これまでは医院などで検査しなければならず手間がかかりました。
心臓疾患の代表例としては狭心症や心筋梗塞、心膜炎、電解質異常などがあります。
よく聞く心筋梗塞は心臓につながる動脈の閉塞によって、
酸素不足となり心筋細胞が壊死してしまうことで回復が難しくなる症状です。
心電図では、壊死してしまった心筋部分がうまく動かないことから、
心臓の機能が低下してしまうことで異常を見つけることができます。
よく、心筋梗塞の発作の症状が出ると胸が苦しくなると言われます。
心臓の病気は自覚的な症状がでるものもありますが、
自覚していない病気が発見されることもあるため、心電図で早期発見すると、
緊急事態に陥る可能性は減らすことができると期待されています。
Apple Watchで利用できるのは心房細動の異常検知
一方で現在のアップルウォッチがすべての心臓疾患について異常検知するわけでも、
ましてや診断を下せるわけではありません。
Apple Watch Series4で導入された心電図機能では、
「心房細動」という心拍異常の検知のみが可能になっています。
この心房細動は心筋梗塞の初期的な危険因子とされており、
当然胸が締め付けられる痛みがする前の段階であり、無自覚者が多いとされています。
そのため、常に身につけるスマートウォッチで常に計測しておくことで、
無自覚者の早期発見につながることを期待されています。
自覚症状のない人が気にしすぎるのは良くない?
しかし、毎日のように身につけるスマートウォッチで、
頻繁に心房細動の異常アラートが出されれば当然不安になりますよね。
毎日アラートが検知されるのであれば病院で一度精密検査をするのも良いと思いますが、
一方で1年に数回異常診断が出ても、動悸や胸の痛み、違和感などが無ければ、
そこまで心配するようなことではないと考えることもできるかもしれません。
未診断のAFを検出することに果たして医学的な意味があるのかは、わからないからだ。保健省の専門独立機関である米国予防医療専門委員会は、この点がはっきりしないことを理由に、自覚症状のない成人に対する不整脈の検査を推奨していない。
WIERD – https://wired.jp/2018/12/09/apple-watch-heart-monitoring/
私も毎年学校や職場の健康診断で2次検査に回されることが何度か有りました。
しかしながら、2次検査では正常と判断され今まで特に心臓系の病はありません。
その人によって不整脈が出やすい人、出にくい人がいることは当然です。
これまでの健康診断や生活習慣を一度振り返ることで、
Apple Watchの心電図診断を「参考にして」生活するのが良いと思います。
スマートウォッチを利用した心疾患研究の可能性
みんなの健康のための予防医学的な心電図測定が期待される
スマートウォッチを購入して心電図が取れるようになれば当然自分の状態を記録できます。
コレ自体はとても健康診断に活かせるデータとして有意義なのですが、
全員がスマートデバイスを身につけることで得られるデータがより重要かもしれません。
ユーザーの性別や年齡、その他の健康データ(運動習慣や睡眠時間など)を活用し、
そのうえで心電図のデータを蓄積することで、より正確な診断が可能になります。
医学的研究には莫大なコストと時間がかかりますが、
Apple Watchユーザーが日常的に身につけているデバイスから得られるデータは、
そうした事前準備やコストをかけることなく正確にデータを得られます。
そうした、予防医学・疫学的研究の重要な鍵になる可能性も秘めていますね。
スマートウォッチで血糖値と心電図と血圧測定ができれば未来の健康が変わる?
Apple Watchを始めとしたスマートウォッチで様々な体のデータを取ることができれば、
個人が事前に体の不調に気づくことができる早期発見につながるだけでなく、
それぞれの人に合わせたリスクを知ることができるかもしれません。
健康管理デバイスとしてのスマートウォッチは「意識が高い人がつけるもの」ではなく、
あくまで「日常小物」として身につけるものであるべきでしょう。
Apple Watchを付ける人は健康に気をつけている(可能性はありますが)というよりも、
おしゃれやデジタルが好きだからこそつけていることが多いと思います。
こうして価値を持つデバイスが、健康という別のメリットも提供することで、
よりそのトータルとしての価値が高まっていくのではないでしょうか。
オムロンからも血圧測定ができるスマートウォッチが販売されています。
こうしたデバイスもまずは身につけたいと思わせる価値提供ができれば、
より普及して最終的に社会全体の健康向上につながっていく可能性があります。