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森林浴には科学的にストレスを軽減させる効果があるかもしれない

森林浴とは?|研究の第一人者は千葉大の宮崎教授

森林浴・森林医学とは?

森林浴は1982年(昭和57年)に当時の林野庁(現在の農林水産省)より提唱された「森林の大気と接触して取り込む」ことを指しています。

この森林のセラピー効果については医学的な解明が不十分とされていましたが、平成16年からの3年間で「森林系環境要素がもたらす人の生理的効果」が研究されてきました。

日本では「日本衛生学会 森林医学研究会」という学会があり、学問分野としては比較的新しくはありますが、多くの研究者が研究をしています。

ストレスの度合いの大きい人ほど大きなリラックス効果

こうした森林浴セラピーの効果は、元々ストレス度合いの高い人にはより大きな効果が出るとされています。一方で元々ストレス度合いの低い弛緩状態にある人は覚醒します。

最新の研究結果では、こうした自然セラピーの効果は、その人がもともと持っているストレスの度合いによって変わることが示唆されているという。同じ刺激だったとしても、ストレス度合いの小さい人より大きい人の方が大きなリラックス効果が得られる。また、もともと弛緩状態にある人は、鎮静とは逆に覚醒する方向に変化する。

人間が現代で感じるストレスは、人間関係や社会生活に由来するものが多く、こうしたストレスは古代の人類が感じたことのない大きなものになっていると考えられます。

自然の中で生活してきた我々にとっては森林は恵みの場所でもあり、生活の場所でもあり、そしてときに命を落とすこともある場所でもあります。

こうした環境では、過度なストレスでもなく完全に気を緩めた状態でもなく、適度な集中力を維持しながら生活を送ったに違いありません。森林セラピーにおいて森林の中に還ることはこうした昔の人類をどこかしら再び引き起こすのかもしれませんね。

Shinrin-yokuは海外でも通じる!?

森林浴(Shinrin-yoku)は海外でも通じる!というわけではなさそうですが、現在Googleで調べてみると190万件のサイトが検索されます。

実は外国でも森林浴に近い言葉があります。英語では “Natural therapy”です。直訳すれば自然療法ですが、米国は自然も多いので近くの国立公園をハイキングするなどが日常的なレジャーとして愛されています。

野外実験を通して森林浴の効果を測った研究

日本で行われた研究ではストレス低減効果が観測された

実際、森林浴にはどれくらいのストレス低減効果があるのでしょうか?

全国24の森林で行った野外実験では、12グループに分けた被験者が(合計280人;年齢21.7±1.5歳)森または市街地を歩きました。初日に、6グループの被験者が森林地帯を歩き、残りの1グループが都市を歩きます。

2日目に、各グループはそれぞれクロスチェックとして反対の地域に送られました。ストレスの指標として唾液コルチゾール、血圧、脈拍数、心拍数の変動性を用いました。

唾液コルチゾールは「ストレスホルモン」と呼ばれているもので、副腎皮質から放出されるステロイドホルモンの一種です。人前で上がりやすい人はこれが急激に増加します。

あまりに長期に渡って分泌されると、脳の海馬を萎縮させたり、炎症のコントロールができなくなります。うつ病の患者さんはこのコルチゾールが高いことが知られています。

これらの指標は、朝食前および午前中(16±5分間)および観察(14±2分間)前後の両方で、宿泊施設で測定されました。歩行および観察期間中のR-R感覚検査(心拍数変動検査)も測定しました。

結果は、森林環境での活動のほうが、より低い濃度のコルチゾール、より低い脈拍数、より低い血圧、より大きな副交感神経活動を促進することが分かりました。都市環境に比較すると交感神経活動が低くなることが分かりました。

森林浴として森林の中をハイキングすることでストレスが低減される効果があるのです。

確かに私達はストレスを感じると田舎暮らしに憧れることがありますが、自然に近いところで生活する事によってこのストレスから開放されることを体が知っているからなのでしょうか。

血圧降下作用があることもメタアナリシスで判明

こうした実験結果が発表されていますが、まだまだ森林浴の効果については大規模かつ精度の高い実験があまり多く行われていないため科学的にその効果は確立したとは言えません。

しかし、近年になって統計的手法がより高度になり、過去の研究成果を活用して再度検証を行うメタアナリシスという試みよって、より正確にその効果を見極めることができるようになりました。

過去に書かれた論文の実験結果で信用できると考えられるものを用いて、再度分析し直したところ森林環境下における収縮期血圧は、非森林環境のそれよりも優位に低い。また、拡張期血圧についても同様であったと報告されています。

生活習慣病や現代の心の病にも効果がある可能性

また、Byeongsang(2017)においても同様にメタアナリシスが実施されました。

6つのRCT(ランダム化比較試験)において、高血圧、心機能および肺機能、免疫機能、炎症、酸化ストレス、ストレス、ストレスホルモン、不安、うつ病、および感情反応を含むいくつかの身体的および心理的状態に対する森林曝露の有望な治療効果が認められる可能性が示唆されています。

ただ、科学的にはまだ証拠が揃っていないので十分注意が必要です。

例えば、いくつかの研究においてグループ間に違いが有るかどうかは報告されておらず、またサンプルサイズ(被験者数)が小さいため統計的に著しい効果を認めることが難しいものもあります。

筆者はサンプルサイズ選択のための検出力計算を行い、適切なサンプルサイズで実験を行うことを推奨しています。また、バイアスを防ぐため観察者もどの人がどの活動を下かわからないという二重盲検法を用いることが大切だと主張しています。

また、観察期間も様々なので、短期間の介入(1週間)と長期間の介入(12週間)の両方の期間の評価、介入後のフェーズ(3ヶ月、6ヶ月、および12ヶ月)で複数の追跡調査を行ったりする。

そして、身体活動強度尺度によって測定されるように、変化する長さ(例えば、30分・60分・90分)、頻度(例えば、週・隔週・4週間ごと)によって分けて観察することを推奨しています。

しかし、今後さらに研究が進んでより堅牢な研究結果が提出されるようになれば、将来的には科学的に森林浴の効果が認められ、いろいろな疾病に対する治療法として確立する可能性を持っています。

今日の論文

Park, Bum Jin, et al. “The physiological effects of Shinrin-yoku (taking in the forest atmosphere or forest bathing): evidence from field experiments in 24 forests across Japan.” Environmental health and preventive medicine 15.1 (2010): 18.

Ideno, Yuki, et al. “Blood pressure-lowering effect of Shinrin-yoku (Forest bathing): a systematic review and meta-analysis.” BMC complementary and alternative medicine 17.1 (2017): 409.

Oh, Byeongsang, et al. “Health and well-being benefits of spending time in forests: systematic review.” Environmental health and preventive medicine 22.1 (2017): 71.

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