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【脳トレ】高齢者の痴呆予防にはスーパーマリオ64が効果的だった

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有名ゲーム「スーパーマリオ64」を高齢者がプレイしたら…

記憶に重要な役割を果たしている海馬・灰白質がどうなるか

任天堂DSから販売された「脳トレ」は日本中で大ヒットしましたよね。私も両親もかなりプレイしましたし、家族で競い合ったりすると結構面白い。人によって得意分野が違うのも分かったりしてコミュニケーションにも一躍かっていたような気がします。

一方でこのゲームをつかった脳トレの効果については、まだまだよく分かっていないところがあり、一説には「脳トレは効果があるのか」という疑問の声も上がっています。[1]「脳トレは知力低下に効果なし? 英研究」https://www.bbc.com/japanese/46518653

ただ、何をするかによって脳のどの部位を使っているのか、そして脳のその部位がどういった役割を果たしているのかについては不明な点が多いので、先程取り上げたBBCのニュースも「パズルに知力低下を防ぐ効果はない」ということがわかったというだけであって脳トレ全般を否定するというわけではないです。

Pros Oneに掲載された本研究では、スーパーマリオ64を高齢者にプレイしてもらい、海馬、小脳、および背外側前頭前野(DLPFC)の灰白質に対する影響を測定したものです

なぜスーパーマリオ64なのかと言うと過去の研究において「3Dプラットフォーム」、つまり立体的なものを捉えるようなゲームが若者の灰白質に良い影響を与えたという研究があり、今回はお年寄りに同じゲームをしてもらったら脳にどのような影響が出るのかを調べたというわけです。

灰白質・海馬とは記憶をつかさどる重要な脳の一部分

灰白質や海馬という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、具体的にどういう機能で、脳のどこにあるのかまでは分からない人が多いかもしれません。

しかし、パーキンソン病やアルツハイマー病といった病気はよく知っている人も多いと思います。パーキンソン病は運動機能障害を引き起こし、アルツハイマー病は記憶・痴呆症状を引き起こします。

灰白質という部分はとても重要な部分です。予想に反して脳の内側ではなく表面に近い部分にあり神経細胞がつまっています。脳の機能を作っていると言っても過言ではない神経細胞体は実は脳の奥深くと言うより表面付近にたくさん存在しているんですね。

頭の左右にある脳を「側頭葉」と呼びます。その内側に海馬という記憶の要があります。

ここらへんは脳の内側にもかかわらず灰白質でできています。
そこに基底核という運動の調節を司るところもあります。

パーキンソン病は基底核に病変を起こしている病気であるわけです。

アルツハイマー病は海馬および大脳の灰白質にある神経細胞が死んでいく病気です。

よく言われる通り「脳が萎縮していく」のです。空間ができると重力や圧力で潰れてしまうので、脳内にできた空間(脳室)には水がたまります。

海馬や灰白質が死んでいくのでなってしまうと記憶ができなくなるだけではなく、生命維持に必要な機能も失われていくのです。[2]国立精神神経センター 神経研究所 疾病研究第6部部長・田平武氏講演 … Continue reading

アルツハイマー病の原因は不明ですが、海馬や灰白質の機能が正常でかつ何らかのトレーニングよってその機能がより強化されるのであれば病状を遅らせることはできる可能性があります。

高齢者にゲームをしてもらったら海馬・灰白質が増えた!

本論文では55〜75歳の高齢者を3つのグループに無作為に分けます。

実験をする際は「トレーニングをしたグループ」と「トレーニングしていないグループ」を比較しなければその効果がわかりませんよね。そのため今回は3つのグループで比較しています。

まず、ビデオゲーム実験グループ(VID; n=8)は、6ヶ月間にわたり3Dプラットフォームのビデオゲームトレーニングを行いました。

もう一つは、何もしない非介入グループです。(CON; n = 13)
また、何らかのトレーニングをしているけれどもビデオゲームをしていないグループとしてコンピューターミュージック(ピアノ)のレッスンを受けるグループも作りました。(MUS; n=12)[3]「VID」とはVIDEOの略記、CONはCONTROLの略記、MUSはMUSICの略記です。「n=」というのはサンプルの数、つまり被験者の数です。

統計解析の結果、以下の通りになりました。

統計分析の読み方はとりあえず置いておくとして、ビデオゲームをした「VID Group」において「Pre-training(トレーニング前)」と「Post-training(トレーニング後)」で大きくなっていますよね![4]p<0.05なので帰無仮説は偽として棄却されました

その結果、海馬・灰白質の範囲が大きくなったということがわかりました。

3Dゲームが高齢者のアルツハイマー症状の進みを遅らせる可能性

この研究から、高齢者がスーパーマリオ64のような3Dをプレイすることで脳の記憶を司るとされている海馬及び灰白質が刺激され、成長する可能性が示唆されました。

脳が萎縮する病気と痴呆症状の関連性が発見されてから「頭をつかうこと」が良いとされていましたが、具体的にどういった方法で脳を刺激することができるのかについては分かっていませんでしたが一つの方法としてビデオゲームが示唆されたということです。

一方で、この研究はあくまで6ヶ月間のトレーニングでどのような変化が発生したかに着目したもので、継続的にゲームをしていったときにどのような影響が出るかはわかりません

ゲームも最初は難しく創意工夫が必要になりますが、ある程度熟達してくると考えなくても指が動く「慣れ」が生じると思います。そうなった際にも同じように海馬や灰白質が刺激されるのかについてはさらなる研究が望まれます。

今日の論文

West, Greg L., et al. “Playing Super Mario 64 increases hippocampal grey matter in older adults.” PloS one 12.12 (2017): e0187779. 

References

References
1 「脳トレは知力低下に効果なし? 英研究」https://www.bbc.com/japanese/46518653
2 国立精神神経センター 神経研究所 疾病研究第6部部長・田平武氏講演 アルツハイマー病研究の最新動向について−https://www.aluminum.or.jp/aluminum-hc/p_6/tahira/tahira_main02.html
3 「VID」とはVIDEOの略記、CONはCONTROLの略記、MUSはMUSICの略記です。「n=」というのはサンプルの数、つまり被験者の数です。
4 p<0.05なので帰無仮説は偽として棄却されました
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